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「食べている」と「足りている」は違う。


最近、アメリカと日本の「食」に対する考え方の違いについて、よく考えます。








アメリカは、ずいぶん遠回りをした


1977年、アメリカ政府は総脂肪の摂取を大きく減らす食事目標を発表しました。

そこから社会には「脂肪は悪」という単純化されたメッセージが広がり、Low Fat食品が一気に増えていきます。

でも、脂肪や糖を「引いた」あとには、味や食感を保つために何かを足さなければなりません。

砂糖を減らせば人工甘味料。脂肪を減らせば別の原料。

Sweet'N Lowのような人工甘味料も広く普及しました。

自然なものを引いて、別のもので補う。アメリカの加工食品は、そんな「引き算と足し算」を繰り返してきた面があります。

ところが2026年、最新の Dietary Guidelines for Americans 2025–2030 は大きく方向を変えました。

Eat Real Food.

野菜、果物、肉、魚、卵、乳製品、豆、ナッツなど、できるだけ本来の食べ物を食べる。

そして、たんぱく質の目標も体重1kgあたり1.2〜1.6g/日

体重55kgなら66〜88gです。

何十年もLow Fat、Low Carbなどを経験した末に、アメリカは「何を抜くか」ではなく、何を、どれだけ食べるかへ戻ってきたように見えます。



日本は「引くこと」が健康になりすぎていないか

日本も変わっています。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65〜74歳のたんぱく質推奨量は男性60g、女性50g。高齢者の低栄養やフレイルも重視されるようになりました。

ただ、一般に残っている健康観はまだ、

食べ過ぎない。脂を控える。肉を控える。粗食が健康。

という「引き算」が強いように感じます。

でも高齢になるほど心配なのは、食べ過ぎだけではなく、食べなさすぎです。

たとえば、

朝:納豆ご飯+味噌汁昼:おにぎり1個、またはハムとレタスのサンドイッチ夜:宅配弁当やワンプレート

本人は「ちゃんと3食食べている」と思います。

でも内容によっては、1日でたんぱく質35〜45g、カロリーも1,100〜1,400kcal程度になることがあります。


「食べている」と「身体を維持できるだけ食べている」は違う。

歩くのが遅くなった。疲れやすい。外へ出るのがおっくう。何もする気にならない。

それを全部「歳だから」で済ませる前に、本当に身体を動かせるだけ食べているかを見てもいいのではないでしょうか。

若い人の「おにぎり1個」「サンドイッチだけ」「カップ麺だけ」も、実は同じ問題です。

お腹は満たしていても、身体を作る材料は足りていない。


そしてもう一つ、日本に戻ると感じるのが、Real Foodを日常的に選ぶ難しさです。

コンビニ、冷凍食品、レトルト、ミールキット、お惣菜は本当に豊富です。

一方で、素材そのものを食べよう、オーガニックを選ぼうと思うと、意識して探さなければならない。

日本の有機農業も増えていますが、耕地全体ではまだ1%未満です。


日本には旬の魚、豆腐、味噌、海藻、きのこ、地場野菜など素晴らしい食材があります。

だからこそ、便利な「食品」はたくさんあるのに、身体を作るReal Foodを毎日選ぶことの方が難しくなっていないかと感じます。


私がAida Greyから学んだのは、天然だから良い、科学だから悪い、という単純な考えではありませんでした。

その肌に、その身体に、今何が必要なのかを見ること。

食事も同じだと思っています。


日本は長い間、

「死なないための栄養」を教えるのは上手だったけれど、「人生を元気に使い切るための栄養」は少し弱かった。

歩く。働く。考える。料理する。人に会う。旅行する。楽しむ。

そのために食べる。

アメリカが遠回りの末に Eat Real Food へ戻ってきた今、日本も「何を控えるか」だけではなく、

「元気に生きるために、何を食べるのか」

をもっと考える時期に来ているのではないでしょうか。

 
 
 

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